夢の途中ブログ

プライドの柔らかいところを

私が一番輝ける場所✨

一人飯がなかなか好きだ。

これが歳を重ねるにつれ本当の孤独へと代わり「誰でもいいから一緒に食卓を囲んでくれ」と願うようになるのだろう、なんてことが頭をかすめるがそんなことはどうだっていい。そういうことは歳を重ねてから考える。

一人でファミレスに行って、底辺YouTuberの動画についた囲いコメなんかをおかずに白米もりもり食べて、そういうのがいいじゃないですか。

財布に入ったお金全部使う勢いでローストビーフ丼セットなんか頼んでね、全然ローストビーフの乗ってない丼が運ばれて来るから早々に血のついた白米だけになって、親に教えてもらった食事マナーなんか全部忘れてスマホ片手に白米をかきこむの。好きなんですよこれが。

隣でファミリーが賑やかに食事してたりするともう最高じゃないですか。ちっちゃい子がお子様ランチなんかをね食べてると「くぅ〜〜オイラってば孤独〜〜」って感じがしますよ。最高ですね。


実際私は両親もいればかわいいかわいい妹もいて、全然孤独じゃないんですけどね、そういうのが好きなんですよ。

太宰治みたいなことですよ。
伝わりますかね、この例え。


女子校に6年間もいて、親にそこそこ大切に育てられるとこういう人間が出来上がる可能性があるってことです。

そんな私の趣味の一つが松屋一人飯をすることです。


毎日松屋だとか、毎日一人飯だという方には怒られそうな話ですけど決してバカにしてるわけじゃないんです。

外食で松屋に連れて行かれたことが無かったものですから、初めて行ったのがそもそも一人でした。というか今まで誰かと行ったことがない。


行くときは決まって夕食を食べに行くので22時〜21時くらいが多いですかね。塾の帰りとか塾の授業と授業の間とかに行っています。

それこそ帰りのサラリーマンだとか、今日初めての食事…もしかして今週初めて?みたいな方がいらっしゃるわけです。ファミレスにいたような層はあまりいませんし、ましてや制服姿はなかなか見かけません。


そういう中で一人で牛丼食べるのは風情があると思いませんか。
もうあの時間あの瞬間の自分が最高に好きなんです。最高にかっこよくてかわいくて孤独でしびれませんか。私だけですか。まぁそれならそれでいいんですけどね。

夜の松屋では私が大抵1番に若いし、そこそこ注目されます。そんなの松屋くらいですよ。私が1番輝ける場所は松屋なんですよ。


まだ部活をやっていた頃はよく牛丼を食べながらネタ出しをしていました。

ネタ出しなんて言ってもただボーッとしてるだけなんだけど。たまに浮かんだらメモ帳に書いたりとかして、でも結局後から見たら全部使いものにならなかったりとかして。

メモ帳だしてボーッとしていたら「なにしてんの?」と声をかけられた時がありました。

これまたなかなかオツなおじ様でして、"空き缶を集める仕事の方"という感じで、というか本当に空き缶が詰まった袋を持っている人だった。

「小説のネタを考えてるんです」

「おっ、手伝ってやるよ。オレ昔作家目指してたんだよ」


というわけでそこからしばらく二人でネタ出しをしました。おじさんが出すネタはグロすぎたり反社会的だったりしてとてもじゃないけど使えませんでした。
 

もうなんかさ〜〜〜すっごく良くないッスか〜〜〜?????

私のつまんない人生の中でこの出来事がすごくキラキラしてるんです。




一人で松屋にいるだけでちょっと注目される年齢を過ぎるまでは暫く時間があるようなのでまだ通うつもりです。

2次元を知らない女の独白

雪はきれいですね。でも降り終わってから数日経った雪はもうウケなくなったジョークを飛ばし続けてるみたいでなんか冷めちゃいますよね。


そんな堅苦しい時候の挨拶は置いておいて、"知らない"というのは何においても愚かだと思う。
"知らない"ことを自慢することほど馬鹿馬鹿しいことはない。

数学の公式だろうが、漫画の内容だろうが、スタバの注文の仕方だろうが、AKBのメンバーだろうがなんでも知っている人のほうが知らない人よりも偉いと思っている。あと本題への入りがスムーズなブログを書く人は人類で一番すごい。

私はとにかく、2次元というものに疎い。

ちびまる子のモデルがさくらももこ自身ってことも最近知ったし(ちび田まる子だとマジで思ってた)、
そもそもちびまる子をろくに見たことが無くて永沢に藤木の人格を入れ込んで「タマネギは火事のせいで卑怯になったんだな」と最悪の解釈をしていたし、友蔵の嫁を勝手に「すみ子」だと思ってた(これは本当にわからない。もしかしたら合ってるかもしれない)

ちびまる子に偏ったけど基本的にアニメとか漫画のことは何も知らない。
サザエさんの人間関係はもっとわからないが何がわからないかもわからないので割愛する。
特に漫画は生活に支障をきたすレベルで読んだことがない。コマ割りがわからなくて読むのにすごく時間がかかる。

親が禁止していたわけでもないのにどうしてこうなったかはわからない。
なんとなく日常会話で出てきたり比喩的に使われる漫画やアニメを知らないと結構困るもんだ。

友達が「たまちゃんのお父さんみたい!」とか言い出した時には怒ったらいいのか喜んだらいいのかわかんなくてヘラヘラしちゃったし。「お母さんじゃなくて?」って返したら会話終わった。わかんねえよ。なんなんだよ、友人の父親まで詳細に描写してるアニメって。


そのクセ友達に2次元オタクが多かったり私の見た目がオタクっぽかったりするせいでアニオタだと勘違いされることが多い。
余計なお世話だ。私は可愛い女子アイドルが好きなオタクである。

そこそこ仲良くなった子に「来期何観る〜〜?」とか言われるともう申し訳なくなる。
そこでまた私の悪い癖が出て素直に「私はあまりアニメを観ないのだ」とか「今まで観なかったんだけど観てみよっかな!オススメ教えてちょ〜〜」って言えばいいものを言わん。
ドラえもんかなぁ」とかクソカスなボケをする。つまんねえしドラえもんさえ観ないんだから最早シンプルな嘘だ。ただ、相手は私をアニオタだと思っているので何故かそこそこウケる。「いやいやいやwwwwwww」ってなる。そこでなんとなく会話が終わる。ちょっとウケたので私は味をしめてまたそのボケをする。


そんなわけで誤解は永遠に解けない。中途半端に話を合わせる悪癖も相まってもう3年くらい私を同志だと思い続けてる友達さえいる。

それは、本当に申し訳ないよな……今期、なにか観てみようと思って話題のポプテピピックを観てみましたが意味わかりませんでした。









(最後の一文はオチで悩んでる時友人が「ポプテのこと書けば面白くなる!」と言ってくれたので実際に観てから書いてみました。私には面白さがわからないんですが、どうなんですか。誰が責任とってくれるんですか)

灰とダイヤモンド

あけましておめでとうございます

なんとなくはてブアプリ開いてみたら元旦だというのにアクセス数が2桁で意味がわからなかったのですが、ありがたいので更新してみます。

とは言え冬休み中、家と塾を往復しているだけの私にネタなどありません。近くのガソリンスタンドが潰れてまた新しくガソリンスタンドが建ちました。くだんねぇ。

ガソリンスタンドについて細かく描写してたら面白くなるかな、などと考えながら神社の列に並んでいると前の方から

「でもさぁ、パイパンをにおわせた時の童貞の反応見てるのが結局一番楽しいわけ」

と聞こえてきた。
見ると俗にいうエロ女って感じの女性がその女よりはエロくなさそうな女2人に向かって話している。

「うわ、こいつウチがパイパンだと思って興奮してるわーってなる瞬間が最高」

多分私の周りは全員に聞こえてるんだろうな。一緒に初詣に来た家族にも絶対聞こえてる。地獄。

ってか何だパイパンをにおわせるって。私が知らない人生の楽しみ方すんな。

日本語がよくわからなくて最初「におわせる」ってのは直接嗅がせることかと思ったら、違った。交際を匂わせるとかそういう意味みたいだ。別にいいけど、エロ女がそんな回りくどい表現をすんなよ。つーかパイパンを匂わせる発言ってどんな??「なんか下半身寒いなぁ」みたいなこと?「好きなパン?パイパンかなぁ」みたいな??

そんな女が神社になんの用だよ。「今年もたくさん童貞にパイパンを匂わせられますように」って???早く家帰って寝ろよ。この「寝ろ」ってのはそういう意味だよ。お幸せにな。

私が引いたおみくじは大吉でした。結構嬉しかったのに引いた家族がみんな大吉だったので、そういうことなんだと察しました。コスプレ目的のバイト巫女がしょーもない恋バナしながら大吉みくじを量産してるのを想像してみくじ破り捨てたくなった。せめてしょーもない恋バナはすんな。


そんな一年の幕開けでした。
あとは普通に良い正月でしたが、良い正月の話をしてもつまらないので割愛します。

今年もよろしくお願いします。




ここまで元旦に読んでくださった読者の方が世界で一番幸せになってほしい。

嘲笑のオカズにされる部活、引退

こんにちは!泥餅ですっ!!!


先日、このブログにて紹介していただいた。

ookichi.hatenablog.com

いつも読んでいるブログだったので、本当にびっくりしました。
更新を望んでくれてる方もいるのか、と思うと頑張らねばと身が引き締まります。そろそろ受験生になるので頻度は下がると思いますが、続けてはいきますので何卒……。

「作者名があまり出てない」と書かれてます。確かにプロフィール欄にしか書いてないですね。

泥餅という名前になんのこだわりもないし、毎回「こんにちは泥餅です」って書くのはなんかほらアレじゃないですか…。YouTuberみたいじゃないですか(YouTuberへの悪意は無いものとする)


そして上のブログでも紹介された部活について書いた回。これがうちのブログで最も読まれてる記事です。

beanjamjam.hatenablog.com

先月、引退してきました。

「引退させろ」が口癖だったものの、辞めてしまうとやはり寂しいものです。もう一生「小説を書かなくてはいけない」なんていう義務が発生することもないでしょう。
そうなると小説なんてもう書かないだろうな、とも思います。それはなんだか寂しいですね。自分の凡人っぷりに苛立ったり他人と比べていた時期は苦しみましたが、才能がないことを認めてからはずいぶん楽しくなりました。中高合わせて超短編から中編までざっと90作くらい書いてきたようです。文化祭で配ったもの、部員にしか見せていないもの、文学賞に応募したもの、酷評されたもの、評価されたもの。それら全部が私は好きです。

そんなわけで今回は、僭越ながら中高時代を文芸部で過ごした身として「小説の書き方」を書いていこうと思います。

いや、違うな…

「才能があると思われたい高校生のための小説の書き方」です!!!


以下このような方にオススメ☆
□もう中学生みたいな痛い小説は書きたくない
□「ある」を「或る」、「なぜ」を「何故」と書くことで演出される文学っぽさに限界を感じている
□言葉のセンスがあると思われたい


それではまず、読者が高校生の小説を読もうと思ったとき求めるものをまとめます。ここを自覚することが重要です。


【読者が高校生以下の場合】
・憧れ
・自分が持たざる何かを持っているか
・自分の予想できない何か

この層はだいぶ漠然としていますね。相手が読書家か否かなど色々な場合が考えられますが、まずは構成で驚かせるなどするのが手っ取り早いでしょう。
 

【読者が自分より年上の場合】
・自分が想像する"高校生の小説"を超えてくるか
・言葉の使い方が自分より優れているかどうか
・痛いか否か

大人はカス。

こちらのほうが手強いです。少しでも「厨ニ病認定」が下ればTwitterなどで晒されて1000RT稼ぎに使われかねません。文化祭などで配布する際それはもはや覚悟の上ですが、できることなら自分が一生懸命書いた小説を1000RTに変えられたくはないですよね。

鼻で笑ってやろうという状態から読み始める読者をいかにして攻略するか、「私が高校生の頃こんなこと考えられなかったよう!」と思わせるかが重要ですね。


そして以上を踏まえ私が考えたポイントが3つです。

その一

生死に敏感であれ


生と死に敏感であること、いやもっと言えば敏感さを装うことです。
例えば、太陽が沈むことを形容する場合。
「太陽が沈んでいく」と書いてしまうのは凡人ですね。いや凡人なんですよ私たちは。でもこの意識は一度捨てましょう。私は天才、天才になるの、はい。精一杯"死"に敏感になって〜。

「太陽が死んでいく」

どうでしょう。
たしかに小手先さは出てる。もう小指の先でチョンチョンやっただけだなって感じはする。
だけど、これなんです。文中で上手くこれを使うことによって「この子は沈む太陽を死んでいくと捉えているのね!人と違うわ!」ってなるんですね。なるんですよ。

他にも例えば自販機で買ったポカリスエットを表現するとき。「買ったばかりのポカリスエット」はい凡人。これを「生まれたばかりのポカリスエットと言い換える。あとなぜか商品名は出さないほうが文学的なので「生まれたばかりのスポーツ飲料」のほうがいいかもしれません。

これが私が考えた、凡人なりに「人と違う視点」を演出する技法の一つです。
自分の過去の作品を見ると多用していた時期があります。あまりやりすぎると「病んでるのかな?」と思われるだけなので注意が必要です。

お手軽さ ★★★★☆
年下からの評価 ★★★☆☆
年上からの評価 ★★★★☆
使いまわし ★★★☆☆
漂うウザさ ★★★★☆


そのニ

作中作をやれ


読者を驚かせる展開、というのははっきりと読者から作者への敬意に繋がります。学生なら多くの場合言葉の表現より話の流れに注目して読んでいることでしょうし、構成さえしっかりしていればというところはあります。
ただ、そんな展開がすぐに思いつくならこっちはとっくに作家デビューでもして最年少直木賞作家にでもなっているという話。結局読んだ本の構成をギリギリバレない程度に模倣するのが凡人の末路。

そこで作中作です。演劇でも劇中劇という劇の中で劇をやる演出は度々見られるように、プロの小説でもたまにある構成です。

おそらく高校生の書く小説なら長くても中編程度だと思います。そこでしっかり作中作をやるのは不可能。
ただ、もう最後に「と書いて私は筆を置いた」とでもつけておけばいいのです。それだけで「えぇ!今までのはこの人の書いてた小説だったの!?」となる人がいることはいるんです。できれば事前になんらかの伏線を張っておくとなお良いですね。

通用するのは1〜2回が限度です。


お手軽さ ★★★☆☆
年下からの評価 ★★★★☆
年上からの評価 ★★☆☆☆
使いまわし ★☆☆☆☆
読者をナメてる度 ★★★★★


その三

私別にこの小説全力で書いたわけじゃありませんので感

キレないでキレないで!まあちょっと聞いて。
これは特にあとがきでの話なんだけど、中学生くらいの時ってやたらあとがき書いたじゃないですか。
「読了ありがとうございました!ってこんな小説最後まで読んだ人いんのかっww最後までこんな駄文を読まされた方、御愁傷様で〜す。なんの責任も取りませ〜ん」みたいな文章から始まってその後もダラダラこの小説が思いついたのはこういう時で〜とか。私はこういうのをかつて書いてたんですよ。

内容が興味深い場合は良いんですけど、ただ自分の文章への卑下とか大した意味もないタイトルの説明とかをされるともうげんなりしますよね。

もうそういうのをしない!!書き終わったあと不安になるのはわかるけどもうおとなしく終わる!!あとがき一文とかの方がかっこいいですよ。そこで「腹が減ったのでここらでお暇させてもらおう。」とか書くとまたアチャーってなるですけどね。私は今全部過去の愚行をもとに話してますからね。


お手軽さ ★★★★★
年下からの評価 ★★☆☆☆
年上からの評価 ★★★★☆
使いまわし ★★★★★
厨ニ病再発の危険性 ★★★★★


以上です!みんなも参考にして楽しい執筆ライフを送ってくれよな!!!



もう私には何も残っていません。
ただどこまでも広がる"虚"があるだけ。

八ツ橋と小説

先日八ツ橋をもらった。
黒ゴマ味だ。めずらしい。八ツ橋は最高だ。食べてみると思った以上に"ゴマ!"で美味しかった。

食べ終わって箱を捨てようとすると、紙が挟まっていることに気づいた。
八ツ橋の由来みたいな話か諸注意みたいなものが書いてあるのか、と思い一瞥すると




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小説だった。

いやもうすごい。黒ゴマの風味を堪能できたと思ったらこんなおまけまでついてくるとは。

前回初めて画像を載せてみたら、やはり画像があったほうが読みやすいということを学んで今回も載せてみました。どうですか?

まず「黒い夜だというのに、黒い衣が翻ったのがはっきりとわかった。本当ならば、この夜分に何をと問い詰めるべきだったのだろう。」と始まる。

なるほど、黒ゴマだからね。


 闇の中でこちらを認めた漆黒の瞳は、口は見えていなかったというのにはっきりと妖艶にこちらに笑いかけたのがわかった。何奴だ、などという言葉をかけるのは無粋な気がして、黙って目を合わせる。
 「見逃せ」
 今度は、声の調子から笑いかけてきているのを知った。
 「今宵は、月が無いので、ふと現れてみた」

いいよ?いいよ笑って。私そういうの責めない。この辺りでどこかに作者の名前が書いてないか探してみる。無い。


 そうか、とだけ、心に浮かんだ。
 女、なのだろう。言葉は男のものではあるが、声は闇を震わす微かな音だった。けれども、黒の中ではその繊細さこそが際立つ。

口の中に微かに残ってた胡麻の香りも完全に消えた。もう全然黒ゴマ関係ねぇな。言葉は男のものであるが、などと当たり前のように言ってくる。男口調かとかいう以前の問題では。


(中略)
 ひらりと、また黒い衣が翻り、影になっている女の顔が映る。月も無いので顔つきも表情も判らないが、笑っているに変わりは無いのだろう。女は長い髪をしていて、時折態と透かすようにこちらを覗った。
 「月は、明日は出てくる」
 「知っている。今宵だけだ。月の無い夜しか溶け込めぬ」
 何もかもが闇に包まれていた。それでも黒の色の違いが、はっきりとそこに誰かがいることを示していて、つくづく黒は不思議な色だと思う。同じ色でも、白はここまで人を隠すことも無く、また、ここまで存在を仄めかすことも無い。


突然始まる黒のダイマ。書いたのは深夜だな、ってことだけはわかる。だめだって深夜に書いた文をそのまま載せちゃ。朝起きて読み返しなって。もう。月の話はほんとにわかんない。どうしちゃったの?月が無いの?新月か、新月の話をしてんのか。


 ふと、足元を見た。自分の影は黒すぎるのか、闇の中に見当たらなかった。
 「おい、何している」
 仲間の声が、先の辻から聞こえた。
 「行灯が消えた」
 「さっさと点けろ。新月は影にのまれるぞ」
 火をうちかけて、女を見る。
 「黒に紛れて戻る故」


ほらやっぱ新月じゃん。もう黒が止まんない。

 ご心配なさらず、とその影は呟き、再び横を通り抜けていく。火花のあかりがうっすらと当たった時の顔が、女だというのに自分に似ている気がした。足元を見ると、影が戻ってきていた。

終わりです。

なんなの?

どうしちゃったの?

調べてみると社員が書いたと紹介してるブログ等もありましたが、詳細は不明の様子。社長の息子とかが書いたんだと私は思います。
誰か止めなよ。こうなる前に止めなって。タイミングはあったはずよ?「いやちょっとこれはイタイですよ」って言える社員が誰もいなかったのか。たぶん私もその場にいたら言えないけど。「最高です!太宰治かな?こりゃ太宰治来ちゃったかな?」とか言うけどさ。

八ツ橋はほんとに美味しかったです。これはマジ。ね、これ書いとくのと書かないのとは全然違うから。

久々にこういう小説読んでちょっと嬉しくなりました。きっとこの文を書いた人は楽しかったんだろうなと思いますし、それなら良いじゃないかとも思います。

それでは最後に中1の頃の私の作品を載せてお別れにしましょう。



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メリークリスマス!!!

天職だな、という話

最近歯科矯正を始めた。

生まれつき歯並びがめちゃくちゃで、「歯並びめちゃくちゃだな」とは思っていたものの命に支障は無いのでこのまま生きていこうと思っていた。

「これお前の歯並びみたいじゃね?」と教科書に載っていた石塁を指されるまでは。

あ、OKよくわかんないよね。私もワケわかんなかったから一緒に見てみよ。




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これ。元寇のとき鎌倉幕府が造った防御のための石垣らしい。

そんなことある?
鎌倉から平成まで石塁と歯並びを「似てるね」って言われた日本人いた?

そんなにかよ、とは思ったけどそれから気になり始めた。
だって私とキスする男はみんな元軍の気持ちになるわけよ?ファーストキスが弘安の役だよ?
ごめん、今はただ日本史の復習をしただけだけど、それから紆余曲折あり歯科矯正が始まった。

あとどうでもいいけど、このブログに初めて上げた画像は今の石塁だ。


矯正って整形みたいなもんだから保険効かなくて結構な金がかかる。
なので親と一緒に慎重に病院は選びました。

病院は良かったのよ。始めてまだ2ヶ月だけど、早くも歯並びがよくなってるのを感じる。
すごいだろ、歯ってそんな動くのかよ。もっと早くからやっときゃ良かったわ。


問題はね先生なんですよ。腕のある先生ではある、それは間違いないんですけどそういう意味じゃなくては「この人天職に就いてるなぁ」と思う。

最初の違和感は歯型を取ったとき。
私の歯並びをメモってて、それは多分矯正で必要だからなんだけどちょっとその表現が独特で、メモしながら「んふふ、4番の向きが良い」とか言うんですよ。
いや、良かぁないけど???
良くないから来たけど??4番ってここか?このわんぱくな生え方の子か?
と思いながらもその日は終わった。


確信したのは2回目。
歯を抜いてきて(歯を抜くのは矯正歯科ではできないらしい)ワイヤーを付けますよって行程。

「じゃあ、ここにワイヤーを付けていきますからね」
と言われ、こっちはそんなの初めてなわけだからググったらめっちゃ痛いらしいとわかって緊張してたんですよ。
パチパチってホチキスみたいな感じで歯にワイヤーを通すためのプラスチックが1つずつ付けられていく。

そこで腕あたりに違和感があった。
なんだ?と思うとすぐ腕から離れる。
視線をそっちにやると、

先生が勃起していました。

う、わ最悪だなと思ってそっからワイヤーを通されたり案の定痛かったりしたけど何も覚えてない。

底辺中の底辺とはいえ私が女子高生であるがばっかりに?先生にも迷いが生じたのか?いやいやいや我慢しろよ。家で好きなだけ医療系AV観ていいからここでは我慢しろよ。こっちは何十万ってかけて来てんだぞ。前歯痛ってぇ。

遅れてきた痛みにも精神を削られながら、先生は別の患者のところに行ったので看護師さんから今後の生活の注意点みたいなのを聞く。

いやそんなことよりあいつ勃起してます、と言いたいところだが真面目に聞いた。

3回目、先週行ってきた。
歯間の掃除をやってもらうだけなので看護師さんが担当だった。あの医者はどこだ、と探すとおじいさんの歯型を取っていた。

え、その年で歯科矯正すんの?とその時は思ったがこの矯正歯科は入れ歯も作っているらしい。へぇ。

勃起していた。
なんなら私のときより勃起していた。

誰でもいいんかい!!!!ごめんごめんさっきなんか女子高生だからとか言っちゃって。ごめんて。ジジイでも良かったんだね。勘違い野郎で恥ずかしいわ!!

ジジイの歯型取って興奮できるって凄いよな。"性"に結び付けなきゃ苦痛な仕事の部類に入りそうなものを。
すっかり感心してしまったし、これを天職と言うのだろうなと思った。

あと1年くらいはこの歯医者に通うことになりそうだ。腕は良いので、その点は信頼している。

せんせい、あのね、

現文で半年かけて漱石の「こころ」をやっている。
私だったら自分の小説を半年もかけて解説されたら気が狂うな、と思うが私は漱石ではないので神妙な顔をしてノートを取ったり、神妙な顔をしてノートを取るポーズのまま寝たりしている。

半年も読んでいるのだから、私も自分と「先生」の話を書いてみようと思う。
あと「こころ」の話はこのブログを書くために無理矢理考えた前置きでしかないので忘れて。半年とか盛ってるし。4ヶ月だし。


私が先生に出会ったのは中学2年生の時だった。まだ「現文」「古典」ではなく「国語」と呼んでいたその教科の担任だった。

内巻きボブに清楚な服装。うちの学校は女子校というだけでお嬢様要素はほぼ無いのだが、先生から溢れる"育ちの良さ"はまさにお嬢様学校の先生然としていた。

めちゃめちゃ字が綺麗で、教え方も言葉遣いも丁寧。私たちはすぐ先生が好きになった。

私は何より先生の匂いが好きだった。
授業中先生が教室を歩き回るたび甘い香水の匂いがした。匂いがキツすぎると言う子もいたけど、中2の私はそれがとても色っぽく感じられて好きだった。


1年後、「国語」は解体され先生は私のクラスで「古典」の担当になった。
そして中3になった私は放課後の渋谷でたまたま先生を見つけることになる。

通常ならば受験生だが、中高一貫校に通う私はすっかりだらけて放課後よくライブに行っていた。

渋谷でお笑いライブを観た帰りだった(若手の漫才を見るために渋谷に足繁く通う女はろくでもない)


先生、と最初気づかなかった。

整った内巻きをガシガシ掻きむしりながら煙草を吸い、片手に缶ビールを持って歩く姿は陳腐な言い方だが、別人だった。

先生のマスカラとアイシャドウがぐずぐずになった目と目があった。私服に着替えているとはいえ先生は私に気づいたはずだったが、そのまま通り過ぎて渋谷の夜に消えていった。


それから私は先生が大好きになった。

そのうち昼休み外で喫煙してることが生徒に見つかって、煙草を毛嫌いする一部に先生は嫌われ始めた。
あの香水も煙草の匂いを消すためのもので、時々かすれる声は酒やけによるものだと噂が立った。

私はそんなことはみんなより先に知っていたし、実際先生が煙草もアルコールも嗜む姿を見ていた。

よく先生に挨拶をしたが、あの日以来挨拶は軽く無視されるようになった。先生は他の子には今まで通り挨拶を返していて、私は優越感を覚えた。

「先生」は先生として生まれてくるのではなく一人の人間だという当たり前なことをあの頃、私はようやく知った気がする。

先生はみんなからどんどん嫌われているらしかった。
普通の学校だと思っていたが、やっぱりどこかお嬢様気質なところがあったのかもしれない。女の先生、煙草、お酒、その組み合わせを受け付けない生徒たち。
タトゥーが入ってるとか、元ヤンキーとかそんな噂も聞いた。
先生を汚いもののように見るみんなが心底つまんなかった。あと、タトゥーが入ってるとしたらもっと好きになっちゃうなと思った。

私はよく先生に質問をしに行った。先生は私に教えるときは板書とは似ても似つかない小学生みたいな丸文字を書いた。
「ほんとはこういう字なんだよね」と言うので、先生が丸文字を書いた裏紙は全部大切に保管した。

先生は一対一で話すといつもより口が悪くなったし、昔の話もよくしてくれた。うちの学校に来る前は男子校にいて、嫌がらせを受けていたらしいこと(最前列の男子高校生が上履きに鏡をつけてスカートの中を見ようとしたという話が衝撃的だった)
男性不信になっていたとき助けてくれた同僚と結婚したこと。保育園に通う娘のこと。


先生になるために生まれてきたわけではないけど頑張って先生をする、私はそんな先生が好きだった。




先生はその年の冬、学校から救急車で運ばれた。育児と勤務による過度の疲労で先生は倒れたらしい。
その辺はよくわからない。でもみんながそうだと言っていた。

私は高校生になり、先生は学校に戻ってきた。古典も現文も違う先生が担当になった。
私は先生に挨拶を返してもらえるようになった。先生はもう昼休みに煙草を吸わない。すれ違ってもきつい香水の匂いはしない。

先生は、きれいに先生になった。
私はそれが今でも悔しい。


このブログをノートにメモしていたら現文の担当に指名された。Kの死因についての授業はまだまだ続く。