夢の途中ブログ

プライドの柔らかいところを

女性専用車両で痴漢に遭いました

女性専用車両でも痴漢は起きる。


基本的に女性専用車両は「痴漢に遭わない」こと以外はほとんど終了している。


香水の匂いが混ざった”いい匂いの概念”にクラクラするし、痴漢を避けたい女が襲来するのでなんなら他の車両より混んでる。
痴漢されちゃうかも…という自過剰な女が集まってるためそれはもう足を踏んだりバッグで頭を抑えたり女のマウント取り合戦がすぐに始まる。


まさに女の悪いとこ全部乗せ。
そんなそんな〜トッピング無料だからってそんなに乗せられちゃ困るよ〜〜キャ〜こりゃ店仕舞いだ〜〜〜〜〜ドッシ〜ン


それでも痴漢は嫌だし、おじさんの加齢臭より香水のほうが耐えられると信じてみんな乗ってる。



始まりは4月中頃。


できる限り心を無にして電車に詰められた私。

朝からフラカンの深夜高速を聴いてる激エモ女の私。





手を握られました




痴漢されたときやってみたい(痴漢はされたくないけど)リアクションNo.1の「当たっちゃっただけ…だよね?」という反応をすることもなく、確信だけがあった。



いやいやだって恋人繋ぎよ?
だって恋人繋ぎなんだもーん☆よ?


とりあえず手を離そうとするけど逃げられない。知ってた?恋人繋ぎって逃げらんないの。だってほら、指がアレだから。繋がってるから。


でも相手の顔見たら綺麗なOLさんだったから許した(綺麗なOLさんにも法律は適応されるが合意の上の痴漢は犯罪ではないので)


そんなこんなで私の手繋ぎ登校がスタートした。
最初の3日くらいはドキドキしたけど、慣れてしまえばなんてことは無くて空いてる方の手では単語帳を見たりし始めた。

こうなるともう別れる寸前のカップルの投げやりなスキンシップと変わらない。
すごい参考にならないリア充体験版。そこじゃないんだよ私がプレイしたい部分は。


本当にOLさんが綺麗でよかった。
佐久間由衣みたいな顔してる。
佐久間由衣マジで好き。ひよっこの時から可愛いと思ってたけどこの前の世にも奇妙で本格的に惚れた。好き。
そんな彼女は社内のマドンナかもしれないし、もしかしたら彼氏もいるかもしれない。なのに朝はこんなちんちくりんの私と手を繋いで出社してるのだ。



これって痴漢なの?と思ったのでフォロワー30人以下のブログアカウントでアンケートを取りました。

(最近はもっぱら”面白いこと考えてそうな人のファボ欄”を作ることに専念してTwitterしてます。楽しくはないです)


痴漢でした。
やっぱ痴漢か〜〜〜〜





痴漢OLは
ある日、消えた。



私はいつもと同じ電車に乗った。
OLは、いなかった。


その次の日も、また次も、それ以来ずっとあのOLに会うことはない。



出社時間が変わったのかもしれない
使う電車が変わったのかもしれない
他にお気に入りの女の子を見つけたかもしれない
もうこんなことやめようと思ったのかもしれない


毎朝どれだけ近くで皮膚が触れていても、もう彼女について知る術はない。


ただ、ふと電車が揺れたとき

隣に立っている女の手を凝視してしまう時がある。


男臭い車両を飛び出し、ここなら安全だと思い電車に揺られるその手に。


恋愛感情とも性的興奮とも違う。
乳児は母の腹から出た不安定さで泣くらしい。いつもそばにあった母の体温が離れた心細さが原因で泣くってどっかの感受性豊かな女が言ってた。
それ。
それに近い。


失った手の感覚を求めそうになって、私は両手で単語帳を強く握る。


doubtful 疑問のある
dubious いかがわしい


ふと思う。
あのOLもまた、レズでもバイでもなかったのかもしれない、と。
彼女もまた被害者だったのかもしれない。
誰かに手を繋がれ、それを失い、縋った先が私だったのかもしれない。


eminent 著名な
imminent 差し迫る



女性専用車両の中で密かに繋がる手つなぎ痴漢のリレーを想像する。それはめちゃくちゃバカバカしくて危険で甘やかな。

私は拳を固めて、そのリレーを止める。
スーパーマンにでもなったような気分だった。



healthy 健康な
healthful 健康に良い


ドアが開く。


なだれ込む女の群れに逆らってホームに降りる。途中で誰かの舌打ちが聞こえた。
単語帳は3分の1も覚えられていない。